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家庭画報 2019年4月号

DELVAUX[デルヴォー]
  賀来千香子さんが旅する京都&ベルギー 響き合う美意識
 
 
南禅寺を歩く賀来さん。
シルクとレースがは奏でる春らしいグリーンの装いに、白いバッグが映えます。
しっとりと柔らかなクリスピーカーフの「プリヨン」は、表情豊かなツボ感が魅力。
サイドにメタルのデザインを効かせ、今の気分を加味して。


    撮影/森山雅智
    スタイリング/おおさわ千春
    きものコーディネート/相澤慶子
    ヘア&メイク/森川丈二<gem>
    着付け/川上まり子<市川ひろみ美容室>
    撮影協力/オフィス サンラック
    デザイン/Oka Design Office




京都と最高峰のバッグに共鳴する美とは−
  「桜色のバッグを携えて 桜の襖絵を見る。この時期ならではのお洒落ですね」



 京都と最高峰のバッグに共鳴する美とはー
 遡ること二〇〇七年、テレビ番組の企画で「デルヴォ―」の工房を訪れた
女優・賀来千香子さん。
 当時の職人ご夫妻のお宅にホームステーし、オリジナルバッグを制作した
経験をお持ちです。
 賀来さんは昨年、家庭画報十二月号の企画で、一一年ぶりにベルギーを
再訪し、新たなるデルヴォ―の魅力が私たちに伝えてくれました。
 ベルギー王室御用達ブランドとして世界に冠たるこのバッグに日本文化、
とりわけ京都の根ざす美と深く共鳴するものがあります。
 京都ならではの襖絵や庭園、色、そしていけばなとともに佇むバッグが
物語るものとは−。
 デルヴォ―をこよなく愛する賀来さんと一緒に、今、国境を超えて響き合う
美意識の旅へと出かけましょう。


響き合う桜 高台寺 襖絵「枝垂れ桜」×「ブリヨン」
春、万丈庭園に枝を垂らす襖が見事な鷲峰山 高台寺の桜。
この枝垂れ桜を描いた日本画家・山岸泉琳作の襖絵「枝垂れ桜」は、
この時期だけ特別に見ることができます。
波心庭に咲き誇る桜のはかなくも品格漂う美しさは、淡いトーンが
この上なく上品な桜色の「ブリヨン」に通じるものがあります。
「桜は日本人の色ですね」と思いを馳せる賀来さんの可憐なきもの姿が、
桜づくしの空間にいっそう際立ちます。
「シルクピンク」という名のごく淡い桜色のバッグは、装う人の心に優しく
寄り添う、女性らしい色合いが魅力。
型絵染作家・岩井香楠子作の若草色と薄紅色の袖に鷸色の名古屋帯
を合わせた着こなしで、春のお出かけ気分を盛り上げて




響き合う意匠 銀閣寺(東山慈照寺)×「タンペート」
 「細部にまで行き届いた美意識。美を求める心は、国境を超えますね」



 小ぶりで端正なハンドバッグは、ロングストラップをつけることで軽快な
着こなしも活躍。
つやのあるフランボワーズ色のリザード素材が、シンプルな装いのアクセントに。


 銀閣寺の正式名称は東山慈照寺。
 白砂の銀沙灘から向月台、そして国宝・観音殿に至る京都ならではの
空間芸術は、東山文化および禅宗文化の最高峰として知られています。
 この美的感覚は、帆船のトラベラーズに想を得てベルギーの建築家
ポール・ゴーシャルズによりデザインされたバッグ「タンペート」を彷彿
させて。
 崇高なまでの造形美と、建築的な衣装のバッグ−。
 時代を、そして国境を越えて多くの人にしじされる二つの美が、賀来さんを
通して京都の地で出会いました。
 この美的化感覚は、帆船のトランペーズに想を得てベルギーの建築家
ポール・ゴージャルズによりデザインされたバッグ「タンペート」を彷彿
させます。
 崇高なまでの造形美と建築的意匠の匠のバッグ−。
 時代を、そして、国を超えて多くの人に支持される二つの美が、賀来さんを
通して京都の地で出会いました。




アーティスト福本潮子の「藍」×デルヴォ―の「ネイビー」


Dの金具がポイントの「クールボックス」はネイビーのカーフ素材。
収納力が高く、きもの姿にも似合うデザインです。
折り畳みを纏い絞りの技法で深い藍に白い光を輝かせた希少な
トルファン綿のきものに、プラチナ箔を施した紙布の帯を合わせれば、
都会的なブルーの着こなしの完成です。


 独自の藍染めでモダンな作品を次々と生み出す京都在住のアーティスト・
福本潮子さん。
 その作品は「現代のジャパン・ブルー」と高く評価され、世界各地の美術館
にも収蔵されています。
 深い藍に金銀の摺箔を施したタペストリーと、クロコダイルの斑のまわりに
ゴールドをあしらったネイビーの「ブリヨン」の高質な色合いは、まるでお互い
の心が通じ合ってるかのように美しい調和を奏でます。




「私にとってデルヴォ―は人生の宝物というべき大切な存在です」


1.2007年、職人ご夫婦のお宅にホームステイし、ミシンの猛特訓をする賀来さん。
 「ミシンが出来なくて泣いた夜もいい思い出です」
2.賀来さんが作ったオリジナルバッグは、四つ葉のクローバーをイメージしたデザイン。 
 オレンジと黒のハイカラーがモダンな印象です。
3.賀来さんがミシンの練習をした後が見て取れるレザー。
 ご夫婦はこれを額装し、大切に飾っています。


 私が初めてベルギーの地を訪れたのは、今から一二年前のことです。
 テレビ番組の企画でデルヴォ―の工房を訪ね、当時ナンバー1、2の
職人であったご夫婦のお宅に一週間ホームステイし、バッグを作りました。
 私はお二人のことをパパ、ママとお呼びしているのですが、とても可愛
がっていただいて。
 それからずっと、誕生日やクリスマスはギフトやカードを贈り合い、
よいおつきあいが続いてます。
 テレビ番組の企画では、自宅には通訳がいないので最初はパパ、ママ
と言葉も通じず、不安な気持ちでいっぱいでした。
 でも言葉が通じなくても思いは伝わるし、伝えられるんだということが
わかりました。
 デルヴォ―の高級なレザーを使ってミシンの練習をする日々は正直
つらくて、泣いた夜もありましたが、その分、デルヴォ―の職人がいかに
偉大であるかを感じることができました。
 ミシンってとっても難しいんですよ(笑)。
 なんとか完成さえたオレンジと黒のハイカラーのバッグには、思い出が
いっぱいに詰まっています。
 それ以来、デルヴォ―の大ファンとなった私は、プライベートでもいくつか
愛用しています。
 これだけのクオリティを誇るバッグにはなかなか出会えません。
 私にとっては、いつまでも大切に使いたいと思えるバッグです。
 昨年、家庭画報の取材で一一年ぶりにペルギーを訪れたのですが、
懐かしいわが家でパパとママに再会できたことは、心の底からうれしかった
ですね。
 パパ、ママはベルギーの家族。
 この御縁はデルヴォ―から頂いた人生の宝物ですから。
 久しぶりに親子水入らずのの時間をすごすことが出来て、とても感謝
してます。
 このときは、パパ、ママに再会できただけではなく、アーティスティック・
ディレクターのクリスティーナ・ゼラーさんにもお目にかかることができました。
 デルヴォ―に再訪する夢が叶って嬉しいという気持ちをお伝えしたら、
「一一年間もずっとデルヴォ―を愛し続けてくれてありがとう」とおっしゃって
いただいて。
 彼女自ら工房を案内してくださったのですが、職人一人一人に気さくに
声をかける姿が印象的でした。
 たまたまお誕生日だった職人の方にはハッピーバースデーの歌を歌ったり、
柔道が黒帯の職人のかたとは柔道のお話で盛り上がったり、デルヴォ―が
いかに職人をリスペクトし、大切にしているかを改めて感じるひとときでした。
 デルヴォ―はベルギー王室御用達ブランドとして有名ですが、私が今でも
覚えているのは、以前ママが
「王室のかたが手にするバッグも、一般のかたが手にするのも、私たちは同じ
気持ちで作る」といっていたこおとです。
 ものづくりに対する職人の真摯たる姿勢は、当時も今も、おそらく創業当時
から変わっていないのではないでしょうか。
 美しいバッグには職人の藍と埃がある―工房を見学して改めて感じたことを
パパとママにお伝えしたら、「私たちは千香子にもその愛と誇りを分けて
あげたのよ」と。
 パパ、ママはもう引退していますが、デルヴォ―に対する思いは今も
変わらない。
 デルヴォ―が持つ底力は、かかわった人々が皆、変わらぬ愛情でブランド
を慈しみ、育てていることにあるのだと思いました。 
 一九〇年もの間、ずっと…。
 私も、パパ、ママからいただいた”デルヴォ―愛”を、これからも一人でも」多くの人々に伝えていけたらー。
 それが私の使命であると感じています。


2018年9月、家庭画報の取材で再びベルギーに。
ホームステイ先を11年ぶりに訪ね、「パパ、ママ、ただいま!」
「千香子おあけり」と何度も抱き合って。
互いを思う心が伝わる感動の再会に、スタッフももらい泣きした瞬間。


クリスティーナさんの案内で、本社や工房にも足を運んだ賀来さん。
レザーライブラリーには、過去30年に作られたすべてのバッグの
レザーが保管されており、修理にも対応できるそう。




響き合う伝統と革新  華道 未生流笹岡
 「一輪の紫の薔薇が印象的。いつまでも眺めていたくなりますね」



いけばな談義に花が咲く賀来さんと家元。
賀来さんが手にしているのは、今季チェーンストラップとなって
新たに登場した「マダム」。
都会的なスクエア形のショルダーバッグは、ストラップの長さを
変えてさまざまな着こなしを楽しむことができます。


 一九一九年、笹岡竹由により想像された華道 未生流笹岡は、
今年一〇〇周年を迎えます。
 「先人の教えを継承し、次代に受け継いでいくのが我々の仕事
  ですが、伝統を守る中で大切なのは革新的なチャレンジを
  忘れないこと」
 と家元の笹岡隆甫さん。
 「プリヨン」誕生六〇周年を記念した「プリヨン ル・ディーヴァ」の
新色に合わせていけたのは、寒緋桜です。
 「桜と椿という和花の王道の組み合わせに、革新の心を込めて
洋の赤い薔薇を挿し、紫の薔薇で全体のバランスをとっています」。
 デルヴォ―は今年一九○周年。
 ともに大きな節目の年を迎え、「伝統と革新」という哲学を体現した
いけばなとバッグが、完璧なまでに互いの美を引き立て合います。




12/17開催
 家庭画報×きものSalon デルヴォ―のイベントのご報告
 「伝統と革新」−ブランドの世界観を体感して響き合う伝統と革新





一九○年の歴史を刻むブランドの新しい魅力を共有した特別な時間
十二月十七日、小誌読者九〇名さまを歓迎するように、雨も上がり
美しい日射しが注ぐベルギー大使館で、家庭画報×きものSalon×
デルヴォ―のクリスマスイベントが開催されました。
第一部はスペシャルゲスト、女優の賀来千香子さんがご登場。
新作の「ブリヨン」をお持ちになり、「本当に素敵!私も欲しいです」と
笑みを浮かべて。
昨年の小誌十二月号の撮影秘話とともに、一一年前に職人ご夫妻の
御自宅にホームステイし、一週間で完成させたオリジナルのバッグを
ご披露くださいました。
第二部は、新作バッグが並ぶ展示会場での、カクテルパーティ。
実際にバッグを手にし、きものとの相性のよさに驚くかたもいらっ
しゃいました。
乾杯後は、フレンチシェフとして国内最年少でミシュラン二つ星を
獲得した厚東創さんによる、フィンガーフードとミニャルディーズに
舌鼓を打ちながら、ご歓談。
皆さま、ベルギー王国ならではのクリスマスの雰囲気と、デルヴォ―
の世界観を堪能されました。





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