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家庭画報 2018年12月号

DELVAUX[デルヴォー]
  賀来千香子さんが愛する最高峰のバッグ
 
 
”ベルジテュード”に魅せられて

ブリュッセル市内を一望できる芸術の丘にて。
「ブリヨン」60周年を記念した限定モデル「ル・ディーヴァ」は、鮮烈な
スカーレットレッドがほかにはないオーラを放って。
服はワントーンでまとめ、バッグを主役にした着こなしを。


    撮影/森山雅智
    スタイリング/おおさわ千春
    ヘア&メイク/板倉タクマ<ヌーデ>
    コーディネート/Yukari Shinozaki
    デザイン/Oka Design Office




世界最古のハンドバッグが生まれた場所、ブリュッセルへ―


 一八二九年―ベルギー王国建国よりも一年前、ブリュッセルの地に産声を
上げた「デルヴォー」。
 ベルギー王室御用達ブランドとして、また、世界最古のラグジュアリ―レザー
グッズブランドとしてその名は広く世界に知られています。
 以前、テレビ番組の企画でデルヴォーの工房を訪れ、オリジナルバッグを
制作したことがある女優・賀来千香子さんにとってもまた、デルヴォーは思い
入れのあるブランドです。
 「デルヴォーは、最高峰のクオリティを誇るバッグであると同時に、私の人生
  にかけがえのない絆をくれた、とても大切な存在なのです」
 と話す賀来さん。
 今、その特別な思いをバッグとともに携えて、”ベルジテュード”―ベルギー
らしさを紐解く旅に出かけます。
 

大人の女性の魅力を醸し出す凝った色彩のアリゲーター

「世界一美しい広場」と名高い、グランプラスを訪れた賀来さん。
白と黒の見事なグラデーションが冴え渡るアリゲーターが、遠目
に際立つ存在感を放ちます。




賀来さんがデルヴォーを愛する理由


 賀来さんとデルヴォーとの出会いは、二〇〇七年に遡ります。
 テレビ番組の企画で、職人ご夫婦のご自宅に一週間滞在し、工房で
オリジナルバッグを制作したのです。
 「当時、工房のナンバー1、2の職人であったご夫婦にお世話になりました。
  私はパパ、ママとお呼びしているのですが、愛情深い優しいご夫婦で、
  今でもいい関係が続いています。
  私にデルヴォー愛を授けてくださったパパ、ママに再開できたら」
と賀来さん。
 今回、一一年ぶりにご夫婦のご自宅を訪れることとなりました。
 「番組のスタッフは帰ってしまうので、パパ、ママと言葉も通じず、最初は
  不安で。
  でも言葉が通じないからこそ、お互い懸念に心を伝えようとし、強い絆が
  生まれたのかもしれません」
 「ママはよく、王室のかたが手にするものも一般のかたが手にするものも
  同じ気持ちで作る、といってました。
  ものづくりに対する姿勢は今でも印象に残ってします。
  職人の素晴らしらを全身で感じる日々でした」
 道中、フランス語で「ただいま」を練習しながら、当時の思い出やデルヴォー
への想いを語る賀来さん。
 目的値に近づくにつれ、緊張と興奮が高まります。
 到着すると、ご夫婦は待ちきれなかったのか、ドアの外にいました。
 「パパ、ママ、ただいま!」
 「千香子、おかえり!」
 と抱き合う三人。
 溢れんばかりので笑顔と頬を伝う涙に、互いを想う暖かな心が伝わります。
 「千香子は気さくでまじめな女優さんで」と話すご主人のマルセル・ランドゥ
さんは、一枚の黒い革を見せてくれました。
 それは賀来さんがミシンの練習をしたもので、ハート形のステッチが幾重
にも連なっています。
 「ミシンができなくて泣いた夜もありました(笑)。
  でもある時ふっとできるようになって。
  職人の偉大さと、もどづくりの楽しさを感じた瞬間でしたね」。
 現在は引退しているお二人ですが、デルヴォーへの想いは変わりません。
 「我々の経験や技術は、メゾンの長い歴史からいただいた”愛”。
  千香子にもそれを分けてあげたのです」。
 「千香子は私たちの娘。
  ここはあなたの家なのだから、いつでも泊まっていいのよ」
という奥様のリディアさん。
 久々に親子水入らずの時間を過ごすことで、賀来さんのデルヴォー愛は
ますます深まったのです。


賀来さんにとっては11年ぶりの懐かしい”わが家”。
「パパ、ママ!」「千香子!」と何度も抱き合う3人の喜びに満ちた笑顔の中に、
涙がうっすらとにじみます。


賀来さんがプライベートで愛用しているデルヴォーの
バッグは多々ありますが、ベージュの「プリヨン]は特別
なお出かけの時に使っているそう。


1 職人のランドゥのご夫婦のご自宅にホームステイし、
  ミシンの猛特訓する当時の賀来さん。
  「ママは厳しい先生でした(笑)」。
2 1週間で完成させた賀来さんオリジナルのバッグ。
  黒とオレンジをベースに、四つ葉のクローバーを
  イメージしたデザインに。
3 ご夫婦の親交は今も続き、誕生日やクリスマスには
  カードやギフトを贈り合う中。
  「パパとママや優しくて愛がいっぱい。本当の家族のよう」
  と賀来さん。


 
 1、2 賀来さんの努力の跡が見て取れる黒いレザーを、
    懐かしく眺める3人。
    「カーブが難しくて何度も何度も練習したんです」
    と賀来さん。
    ご夫婦はこれを額装し、部屋の一角に大切に飾って
    いました。
    ご自宅いはほかにも賀来さんの写真やアルバムが
    ずらり。ご夫婦と賀来さんは互いの出会いを
    ”デルヴォーからいただいた宝物”だといいます。
3   賀来さんが1週間寝泊まりした2階の部屋。
    「何も変わってないですね」と当時に思いを馳せて。」




最高のクオリティとクラフツマンシップを訪ねて


 本社エントランスで賀来さんを出迎えるクリスティーナさん。
賀来さんは、カーフとヌバックの組み合わせで奥行きのある表情のカーキの
バッグを携えて。


 デルヴォーの操業は一八二九年。
 一八八三ねんにはベルギー王室御用達の栄誉を手にします。
 五年ごとに審査・認定されるこの称号は、最高峰であることの証。
 一九〇八年には世界で初めてハンドバッグの意匠登録を出願。
 ベルギーを代表するラグジュアリ―ブランドとして確固たる地位を
 築いています。
 二〇一一年からアーティスティック・ディレクターを務めるのは、
クリスティーナ・ゼラーさん。
 ファッション業界では広く知られる彼女が加わったことで、メゾンは
さらなる進化を遂げています。
 賀来さんのアトリエ来訪に
 「一一年間もデルヴォーを愛してくれてありがとう」
と、出迎えてくれました。
 賀来さんも
 「デルヴォーへの再訪は私の夢でした。夢が叶ってうれしいです」
と笑顔で答えます。
 レザーの保管庫では、賀来さんのいちばん好きな色が赤だと知ると、
さりげなく赤いレザーを出して説明するクリスティーナさん。
 アトリエに入ると、職人がそれぞれ真摯に作業しています。
 デルヴォーでは一つのバッグの組み立ては一人の職人さが完成
さえますが、それに要する時間は最低でも一〜二日。
 職人にとってバッグは子どものようなものだといいます。
 プレシャスレザーの責任者が誕生日だと聞くと、バースデーソングで
お祝いするなど、職人一人一人に声をかけながらアトリエを案内する
クリスティーナさん。
 彼女を通して垣間見えるのは、デルヴォーがいかに職人を大切に
しているかということ。
 「職人は私たちの命。完璧なバッグは、代々受け継がれる職人技が
  あってこそです」。
 「職人もまた、ここで働くことに誇りを持っているのでしょうね」
と賀来さんも深くうなづきます。






進化するブランドの”今”を感じる ギャラリーブティックへ


 賀来さんが次に訪れたのは、デルヴォーの世界観を余すところなく
実現した本店ブティック。
 一九世紀の歴史的建造物の中に、ベルギーらしい視点で選ばれた
モダンアートがそこかしこに並びます。
 「洗練されたバッグやアートをいつまでも眺めていたくなりますね」
と賀来さん。
 「伝統を守ってこそ、革新的なことができる。
  そしてそれが次の伝統を作るのです。
  そのときに大切なことが”ベルジテュード”」
とクリスティーナさんが語るように、ここでは過去と現在、クラシックと
モダンなど、逆説的なエッセンスが見事に調和。
 ベルギーブランドとしての個性と比類なき美意識を体感できます。


モダンな装いを実現する鮮やかなブルー

横長のフォルムでモダンな魅力が加わった「プリヨン イーストウエスト」。
上品な光沢の青いロデオカーブで、色を楽しむ大人のお洒落を。




構築的なデザインに響きあう メタリックな輝き

建築的な意匠が美しい「タンペート」に、柔らかなドレスがノーブルな印象。
上質なクリスピーカーブを彩るメタリックな色合いは、光の加減でさまざまな
表情を見せて。




モノトーンの装いに華やかな金具がアクセント

大きめのクラッチバッグは、カードも収納できるお財布一体型の使いやすいデザイン。
ゴールドのボールがあしらわれた金具が装いのアクセントになり、モダンでフラッシュ
なドレスアップを約束します。





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